畳の基礎知識

畳は、日本人とともに進化してきた日本文化の象徴であり、
職人や生産業者の技術を結集した高級調度品です。

ここではそんな畳についての基礎知識をご紹介します。

特徴・効用

畳には、古来より多くの効用があると言われてきました。自然素材であるい草が湿度を調整し、空気を清浄化しす。また、畳は断熱性と保湿性に優れており、室内の温度と湿度を快適に保ちます。さらに、畳は騒音を吸収する性質があるため、静かな環境を作り出します。このような物理的特性に加え、畳の自然な香りや感触はリラックス効果を促し、記憶力の向上にも寄与すると言われています。

畳には、日本の風土に合ったこのような嬉しい効果があります。

湿度の調整をします

畳は一畳あたり約500ccの水分を吸収すると言われており、じめじめとした湿気を防いでくれます。

逆に乾燥してくると放湿する性質を持っているので、春夏秋冬どの季節でも湿度を適度に保つはたらきをします。

空気をきれいにします

イ草には空気中の二酸化炭素など有害物質を吸い込む働きがあります。

まさに天然の空気清浄機です。

断熱、保湿性に優れています

夏場は涼しく、冬は暖かくお部屋を保ちます。

騒音を吸収します

縦横に空気の層が貼り巡っているので弾力性に富み、音を吸う働きがあります。騒音の軽減にも役立ちます。

リラックス、記憶力向上の効果があります

イ草特有の香りには、神経を鎮めたり記憶力を高める効果があります。お子様の勉強部屋にも畳が適していると言われています。

畳の構造

畳はい草の表面の「畳表」、中心部分の「畳床」、そして周囲を覆う縁から構成されています。畳表は触感と見た目を、畳床は弾力性と耐久性を、縁は畳の強度を高めるとともに、装飾的な役割も担っています。

畳表(たたみおもて)

畳床の表面を覆うゴザの部分です。主原料はイグサの茎を使用し、綿や麻を縦糸に織り込まれています。イグサの織り込み量が多いほど表面がつまって美しく痛みも少ないとされています。最近ではイグサの代用として、化学繊維や和紙などのカラーバリエーションが豊富な畳表もあります。

畳床(たたみどこ)

畳の芯に相当する部分です。もともとは稲藁を何重にも重ねて作っていたので「藁床」とも呼ばれています。藁床は、約30kg以上の稲藁を平らに約40cmまで積み重ね約5cmの厚さまで圧縮して作るため、畳ならではの耐久性、弾力性、吸放湿性、断熱、保温性、難燃性という点で優れています。
しかし、現在は住宅事情の変化にともない、「建材畳床」と呼ばれる稲藁を一切使用しないでポリスチレンフォームや細かいチップを圧縮したインシュレーションボードを組み合わせ縫い込んだ軽量設計で低コスト、断熱性に優れ水を吸収しにくい畳床もたくさんあります。

畳縁(たたみべり)

畳の長手方向に付けられた布のことです。ポリエチレン糸、ポリプロピレン糸、ポリエステル糸、更に艶つけ加工を施した綿糸などを組み合わせて織られています。
畳の経年劣化などで痛みが目立つ角の部分のささくれ等を防いでくれるのが畳縁です。また、畳を敷き合わせる際にできやすい隙間を「しめる」などの役割があります。

畳の種類

縁付き天然イ草の畳

最も一般に普及している、縁のついた畳です。天然イを使用しているため、畳の効能や香りをより発揮します。最近では様々なデザインの畳縁があるため、畳を自分好みのテイストにすることが可能になっています。

縁なし畳(琉球畳)

元々は丈夫な琉球地方の七島イ、または七島イ風イ草を使用して、畳縁を付けずに畳表を曲げて作った畳のことを指します。衝撃に強く耐久性に富むため、元々は柔道畳として使用されていました。現在ではイ草の産地や畳の素材も様々になり、一般家庭の住居にも普及されています。通常半帖敷きにし、市松模様を楽しみます。

化学畳表、特殊畳床使用の畳

和紙や樹脂などを使用した畳です。カラーやデザインの種類が豊富で、インテリアとしての楽しみも広がります。畳ラグ、置き畳など、現代の住居環境に柔軟に対応するものや、防虫、抗菌、水洗いOK等嬉しいオプションがつくものなど、様々な種類があります。

畳の大きさ・サイズ

日本の畳のサイズは、地域によって若干異なりますが、一般的に二つの主なタイプがあります。「京間(きょうま)」と「江戸間(えどま)」です。

他には「団地間(だんちま)」もあります。

畳の長辺を丈(たけ)、短辺を巾(はば)と呼びます。

京間(きょうま)

「京間」は、関西地方でよく見られるサイズで「本間」「関西間」とも呼ばれます。
一枚の畳のサイズは、三尺一寸五分×六尺三寸で、約195×95.5センチメートルです。

江戸間(えどま)

「江戸間」は、関東地方を中心に用いられるサイズで「関東間」とも呼ばれます。
一枚の畳のサイズは、二尺九寸×五尺八寸で、約176×88センチメートルです。

中京間(ちゅうきょうま)

また、新しいタイプとして「中京間(ちゅうきょうま)」があります。
一枚の畳のサイズは京間と江戸間の中間の三尺×六尺で、約191×91センチメートルです。

団地間(だんちま)

集合団地で使用されることが多いサイズで、五尺六寸x二尺八寸で約170×85センチメートルです。

これらのサイズは、部屋の広さや用途、地域の伝統によって選ばれます。

お手入れ方法

普段のお手入れ

  • こまめに掃除をしてください。掃除の際には目に沿って優しく掃除機をかけるか、乾いた雑巾で拭いてください。
  • 室内の換気をよくして、湿気をこもらせないようにしましょう。
  • 直射日光はなるべく避けてください。
  • 畳の上にじゅうたんやカーペットなどを重ね敷しないようにしましょう。
  • 重いものや角張ったもの、キャスターのついたものを畳の上に置くときは、凹みを避けるために必ず当て物をしてください。
  • 年に1、2回畳干しをするとダニやカビを予防できます。

もしものときの対処法

カビが生えたら

目にそって掃除機か乾いた雑巾でカビを取り除きます。その後、市販の消毒用アルコールを軽く含ませた雑巾で拭き取ってください。

醤油やコーヒーをこぼしたら

すぐに乾いた布で吸い取ってください。ぬれ雑巾で強くこすることは避けてください。

汚れ・シミがついたら

塩素系漂白剤(キッチンハイターなど)を倍希釈して、綿棒で汚れ・シミ部分に塗り、数分おいてください。畳専用の塩素系漂白剤もあります。

家具のあとがついたら

軽度の凹みあとには、スチームアイロンや熱い蒸しタオルで蒸らすと、1~2分である程度当ててください。蒸気で凹みを小さくすることができます。(和紙表)(長時間スチームをあてると変色する場合があるのでご注意ください)

畳替えの種類と時期

表替え(目安:4~5年)

畳床はそのままで、畳表と畳縁を新しいものに交換します。すでに裏返しされている場合、または畳表の傷みが進んでいる場合にはこちらをおすすめします。表替えをすることが決まったら、畳屋さんに相談しながら、お部屋の用途に合わせて畳表を選ぶことをおすすめします。

新調(目安:10年~)

畳床、畳表、畳縁、すべてを新品にします。新築や増築などの際、または畳全体が古くなった場合に行います。大事に使えば畳床は10年以上もちますが、カビや汚れがひどい、でこぼこが多い、歩くとぷかぷかする、隙間があるなど、劣化が激しい場合には、新畳をご検討ください。